ぜん breath X

空間の風景 2

すっかりお馴染みになったワイヤーの骨格とチュチュの肌の紙粘土顔(ビー玉の瞳)の住人たち。今回はパッケージ用の荒布テープを巻いただけの衣装で佇みました。とくに新しい住人ではなく、役者のように別の表情をもって空間に息づきます。
入口ほど近くに立っていた老いた男と若い女。女は男を優しく支えるように抱き、男はうつろな表情で悲しく寄り掛かる…。

今年の夏頃、ホームヘルパーの資格をとったからこんな作品に仕上げたのかも知れないし、そうでないかも知れない。見る人それぞれにこの男女のドラマが生まれるでしょう。

見る角度によって恐ろしく怖くもあり、愛おしく優しくもある。支え寄り添うふたり…「人」という字はこうして生まれたのですから。

空間右奥角に立っていた母子。手には提灯を(あるいは水瓶のよう)抱える。

何か物思いにふけるような母の表情を、幼い子供が見上げる。

壁面や提灯などのとりどりの色は布の染料でつけたものです。黒は例年と同じく墨も使いました。

母子の足下には前回使った繭の照明がぼんやりと光る。

下から二人を照らすことでまた表情が変わった。

今回の空間の住人では人気があったようです。「いい顔をしてる」

誰かがつぶやいた…。

今回の展示で、唯一新しく生まれた住人がカゴ編み用の乾燥した蔓と竹などで創った彼らだった。

入口正面奥にひっそり立って、揺らすと体中に吊るした色々な鈴やベルがチャリンチャリリ…と音をたてました。

その間に一番の古株の赤ちゃんが逆さにぶら下がっていました。

生まれたばかりの大人と、ずっといた古い赤ん坊…。

奇妙な、そしてそれだけのもの。

下の大きな箱(段ボール)の周りに散らした紙屑で子供たちの悪戯が大変でした。気付いた時には空間中の床という床に散らばっていた。

「掃除、片付けして帰ろうね」

巨大な男が覗きこむ大きな箱の中。男は涙を流し、じっと箱の中を見つめる。

子供が来ると

「ここから入れるんだよ」

と、箱の下を開けてやる。

最初は怖がっていた子もいつの間にか潜り込んで、中から私を呼ぶ。「おーい!」

かくれんぼのように、いつの間にか隠れて待っている子もいた。

「誰かみつけてね…」

実は箱の中にもうひとり小さな住人がいた。

大人が覗けば上から見えるけど、子供たちは箱に入ってからご対面…。

子供たち、意外と怖がらなかったなぁ…。

こうして10回を目標にしていた展示会もお陰さまで無事終えることができました。これも訪れてくださる皆様、子供たち、協力し理解してくれる人たち皆のお陰です。ありがとう。感謝です。

「これからも続けてくださいね」

何人もの人からそう言われました。10回を終えて方の荷が降りたというより、今回、そして一回一回を開催するその時々にそれぞれ必死でした。生活が苦しかった時もあったけど、振り返ってみてやってよかったと思える自分に出会えたことがなによりの喜びです。

次に向かう力、訪れて方々からそんなものをいただきました。それは前に向かうこと、生きて行くことそのものにつながる力です。

また会いましょう!次はどんな出会いが待っているのか、楽しみにしております。

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