ぜん breath X

空間の風景 1

10度目の空間はテーマが決まらなかった。空間内には例年と変わりない虫の音、水の音が流れていました。前回の壁面を破り、椅子から何から空間に置くもの全てに貼りまくった。何かを壊し、また再生させる作業は、何をしたらいいか分からない混乱の中で進めました。目標としていた10回目に至って、この自分が何がしたかったのか悩みもがきました。でも、とにかく動き、作ることの中で、原点は何もないこと、何も考えないことだと気付いた。製作中にも流していたバッハの曲を時に流すと、空間内がまた別の表情をみせて、訪れる人の表情も変わったのです。
「何かあったの?」友人の開口一番の一言が耳に入りました。「色が鮮やかになった?」と聞くと、言葉を選びながら、て言うか、なんか変わった。すごく変わったね。自分の中で何かが変わることに、意外と本人は鈍いものなのだろうか?何もなく、自信なく開催した空間は訪れるそれぞれの中にどう映ったことでしょう。もどかしさ、儚さ、不安…自分が小さく弱い存在だと思ったこの時期、訪れる人たちとの距離が少し近付いた気がした。不思議なものです。
入口天井から吊るした大きな円形の凧みたいな物体。意味もなく創ったものですが、反らせていたので某製菓メーカーのチップスみたいだと皆口を揃えました。緑系のやつが「のりしお」、赤系のやつが「ホットチリ(とうがらし)」といったところでしょうか(笑)。「おひとついかが?」とすすめたが、大きいので断られました。(この空間じゃ小さく見えるけど、家だとかなり大きくて邪魔…)同じく数年前に百円均一で買った提灯(ランプシェード)に色付けしたものは何人かが貰っていきました。
空間中央でゆっくり回っていたのは巨大モビール。動力はないけど空調で程よく回ってました。呼び名を間違えて某石油メーカーの名を口にした私です。やじろべえと言った人もいましたけどね…。
前々回に登場させた「獅子おどし」。前回の時に「今年はないの?」と聞かれて再登場!今回は前回のものを改良して水漏れのないように考えました。でも、子供たちが触るとすぐに壊れる繊細なものでした。しコンッという音が空間内が静かだとよく響きました。小さいのでリズムが早いのが難点です。

これをインテリアに欲しいって人も結構いましたが、商品化は無理でしょうね。

下の紙を巻いたボールは、人が乗ったら紙がすぐに破れてボールが剥き出しになりました。。失敗はつきものです。

汽車に無茶な荷物を積んで走らせる子供。案の定失敗してました。子供が来る度に風景が変化していきます。挑戦と遊び心…どちらも大切なものです。
稲作で撮影した稲、古民家、苅田、草花などビデオプロジェクターで投影したデジタル編集による映像。今回は住人が手に持って見つめる円形の紙に映した。人形の背後から投影した為、人形の体の影も映り、「お腹の中で人が踊っている」とある子が言いました。

映像の一部はこちら…

背後の段ボール箱と床の紙屑が子供たちにとって弾けた遊び道具となりました。大人にとってのゴミも、子供たちの手にかかれば魔法の力を受けたように光り始めます。
今年も子供たちは大変な賑わいでした。何度も足を運んできた母子は色々な話しをしていきました。色々な人が出会うって面白いですね。世知辛い世の中ですが、こんな場所もあっていいのでしょう。出会った時に小学生だった女の子たちももう中学卒業間際。お化粧などしてすっかり大人ぶってました。彼女たちにとってはもう大人なんですよね。時間は過ぎていきます。確実にそういうこと。でも、忘れていけないものってあるのでしょうか?答えなんてありません。だからこんな空間を創っているんですからね…。

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